金融規制メモ

金融規制を専門とする弁護士のメモ

業として(③事業遂行性)

貸金業についても、類似の議論があります。貸金業も、金融商品取引業と同様、営利性が要件とされないため、まず反復継続性が要件になります。そして、これに加えて、「社会通念上事業の遂行とみることができる程度のものであること」も要件になると考えられています。この要件の言い回しは、金融庁ノーアクションレター制度における回答で用いられているものですが、その出所は旧大蔵省時代の当局解説まで遡ります。ここでは短く「事業遂行性」と呼ぶことにします。

 

旧大蔵相時代の当局解説では、事業遂行性を欠く事例として、職場や地域等の小規模な親睦団体が、付随的に相互扶助の観点から構成員に対して貸付けを行う場合が挙げられています。

 

別の事例として、グループ会社間の貸付けも、一定の範囲のものは事業遂行性を欠くと解釈されていました。この解釈は、金融庁ノーアクションレター制度における回答で示されていました。しかし、この解釈は、2014年の貸金業法施行令等の改正により、法令上の除外規定に取り込まれることになりました。現在では、グループ会社間の貸付けは、一定の範囲のものが貸金業の定義から除外されています。金融商品取引法でも、グループ会社間の一定のデリバティブ取引を金融商品取引業の定義から除外する規定がありますが、貸金業法の方がグループ会社間の行為についてより包括的な除外規定を設けているといえます。

(続く)